〔本年度新規事業は斜字〕

［５］医療対策部　　Ａ．医療対策　Ｂ．産科看護

　産婦人科医療・経営全般について検討する「医療対策」、産科看護に関する教育を通してその質的向上をめざす「産科看護」の ２つを擁する医療対策部は、産婦人科医療の根元にある問題を検討する重要な役割を担っている。
　平成12年度は「医療対策」においては少子化や高齢社会の進行する中で、産婦人科医の果たすべき役割や抱える問題を明らかにし、種々の検討を行うべく、定点モニターによる調査等を中心に1．病診連携のあり方検討、2．新規開業施設の実態調査などを行う。
　また「産科看護」は産科看護に携わるスタッフの教育に資するべく1．昨年同様、日母産婦人科大会に連動して日母産婦人科看護研修学院卒後研修会を開催し、2．諸問題につき直接検討を行うため、全国日母産婦人科看護研修学院連絡協議会を３年ぶりに開催する。
　各事業の詳細は以下の通りである。

A．医療対策
１．病診連携の視点からの妊婦健診のあり方と産科サービスのあり方について、ならびに出産後の対応について検討

本年度は膨大な集計結果を詳細に分析して、21世紀時代に即した産婦人科医療のあるべき姿を解析・検討を行う。

２．新規開業施設の実態調査アンケート実施施設への追跡調査の検討

前回調査した施設のその後の状況を把握して、今後の開業にあたっての問題点などを分析・検討を行う。

３．後継者問題についての検討

昨年度に引き続き、後継者問題を抱える会員への情報提供と将来的には新規開業者を含む相談窓口などを含めた資料の収集と検討を行う。

４．外国人分娩の取り扱いについて
５．産婦人科病診連携の今後のあり方について検討
６．少産少子化対策について検討

育児の面からと医業対策の面からの両方において再度検討する。

７．日母様式「カルテ」モデルおよび患者指導票等の見直しと普及の検討

インフォームド・コンセントの重要性から、内容が現状に合致しているか否か再検討し、改定、廃止、新設の作業を継続し、その他に

（１）「母と子の経過報告書（仮称）」

出産後の母児のfollow upに、紹介先の医療施設からの報告書モデル作成

（２） 診療情報開示に耐えうるカルテモデル作成の検討
８．日母医報「医療と医業」の頁

「医療と医業」の頁の方針は、あらゆる分野で会員の医療と医業の活性化に役に立つものを、統計学的手法にとらわれず幅広い視点で取り上げることである。今後も「医療と医業」の頁の充実を図る。

９．日母定点モニター制度を維持

（１）定点モニター制度を維持、継続する。
（２）定点モニターの協力を得て広く会員の情報を把握し、今後の医療対策部だけでなく、産婦人科医全体の活動を検討する。
10．各種調査・検討結果の周知徹底

各種調査の検討結果を多くの会員に伝達するために、日母医報の「医療と医業」の頁をより有効に活用し、特集号や小冊子の発行を通して周知徹底を図る。

11．厚生省ならびに関連諸団体との連絡会議

厚生省ならびに関連諸団体と諸事問題等に関して情報交換を行う。

12．委員会

以上の事業を円滑に遂行するため医療対策委員会を存置する。

B．産科看護

１．全国日母産婦人科看護研修学院の現況調査、ならびに学院への補助金交付

全国日母産婦人科看護研修学院における入学者数とその資格、授業時間、授業料、補助金、卒後研修会の有無とそのテーマなどの現況や諸問題についての調査を行い、現在学院の有する問題点を解決するための具体的な対策の検討や、今後の学院のあり方についての資料を作成する。また運営の一助として１学院７万円の補助を行う。

２．日母産婦人科看護研修学院のあり方の検討

全国日母産婦人科看護研修学院の現況調査資料や産科看護委員会で収集した資料などを基に、学院を取り巻く社会情勢、現状の医療状況などを考慮して委員会を中心に検討を行う。

３．全国日母産婦人科看護研修学院連絡協議会の開催

全国の各日母産婦人科看護研修学院の現状や授業内容、学院生増加のための対策など学院に関わる諸問題を各担当者が直接協議し、検討を行う場として3年ぶりに全国日母産婦人科看護研修学院連絡協議会を開催する。（日時：平成12年10月15日（日）PM13：00〜16：00、会場：丸ノ内ホテル）

４．学院授業内容の検討

平成６年に婦人科テキストを導入、平成８年にはこれに不妊症の項目を追加し、さらに平成10年には従来より教科書として使用していた「ナースのための産科学」（南山堂）の全面改定を行い、新しい「ナースのための産科学」を発行する等、学院の授業内容の充実を図ってきた。本年度も変わり行く医療を視野に入れつつ、21世紀に向け学院の授業内容の充実のための検討を行う。

５．第21回全国日母産婦人科看護研修学院卒後研修会の開催

産婦人科の看護に携わる人たちの医療・看護水準の維持向上を図る目的で、毎年全国日母産婦人科看護研修学院卒業生、学院生、学院関係者ならびに産婦人科看護従事者を対象として生涯研修会を行っている。なお今回から、学院関係者以外の人たちが参加しやすいよう「産婦人科看護従事者研修会」を名称に併記する。本年度も実際に役に立つもの、トピック的なテーマ、“up-to-date”な情報などを取り入れた研修会を第27回日母産婦人科大会生涯研修と同日の平成12年9月23日（土） 北海道・ロイトン札幌にて開催を予定している。なお当日の講演をビデオ収録し、全国の日母産婦人科看護研修学院に無料配布する予定としている。

６．「産婦人科看護研修学院だより」の発行配布

日母会員、日母産婦人科看護研修学院生および卒業生を対象にコミュニケーションと“up-to-date”な情報などの伝達を目的として、年１回17,000部を発行配布する。

７．永年勤続者ならびに成績優秀者の表彰の実施

日母産婦人科看護研修学院卒業の永年勤続者、および各産婦人科看護研修学院より１名の推薦を受けた成績優秀者を表彰する。

８．日母産婦人科看護研修学院全国統一試験の実施

これまでに出題された問題と、本年度産科看護委員会の各委員から提出された問題の中から、統一試験問題を選定作成し、平成13年2月20日（火）日母産婦人科看護研修学院全国統一試験を実施する。

９．厚生省ならびに関連諸団体との連絡協議

厚生省ならびに関連諸団体と諸事問題等に関して情報交換を行う。

10．委員会

以上の事業を円滑に遂行するため、産科看護委員会を存置する。