[6]勤務医部
平成16年4月から、必須化された「卒後臨床研修制度」がスタートする。多くの問題を抱えながらも「走りながら考えていかなければならない新しい卒後臨床研修制度」に対して、真に国民医療に役立つ医師養成への変革となるよう勤務医部としても今まで以上に活発な活動を展開していかなければならない。
勤務医は今までに経験したことのない雇用環境(賃金抑制、医師不足等による過酷な勤務等)に加え、臨床研修指定病院にあっては指導医としての新たな負担が加わり、ますます厳しい労働状況となることが予想される。産婦人科入局者数も平成12年頃より減少傾向は止まったが、女性医師の入局増加による質的変化は著しい。また、平成15年度の産婦人科専門医試験の合格者は296名で300名を割り込み、さらに専門医資格更新医も年々減少しており、現役産婦人科医不足は深刻な問題となっている。
この厳しい状況の中で、日本産婦人科医会が日常診療に役立つ医療情報提供や、勤務医、開業医を問わず現在抱えている問題の抽出と解決策の提言、そして将来展望などを提示し、また現会員に対して働きかけのみならず若手医師の会員の獲得、養成に昨今取り組み始めていることは周知のことであり、今後も同様の活動が必要であると認識している。
勤務医部としては、新規入会若手医師も含めた産婦人科医師全体が共通認識の基に行動し、すべての産婦人科医会会員の職場環境の改善、ひいてはQOL向上に寄与できるような活動を展開する。
1.「JAOG Information」の発行
継続して年3回発行し、会員に対する日常診療に役立つ医療情報の提供、勤務医の抱えている問題点、将来展望などについて広報していく。
今年度も、日本産婦人科医会学術集会千葉大会抄録集を含め計3回の発刊を予定している。
2.勤務医の待遇に関する検討
過年度に実施したアンケート調査結果(女性医師の復職に関する問題、定年後再就職に関する問題)の分析検討結果より得られた提言を広報する。また、広報先の意識調査も同時に行い、広報活動の方向性と成果を検討する。
3.女性医師の有する諸問題の検討
女性医師が産婦人科医としてより長く活動できる体制を構築することは、産婦人科医療において重要なテーマの一つである。この問題点解決に向けて平成15年度は東京都医師会女性会員問題検討委員会と会合を持ち検討したが、今後は女性の労働力をいかしている職種の関係団体との会談を計画する。また、各支部における女性医師の現状などについて情報収集し、対応策を検討提言する。
女性医師に関する各病院医局内規(妊娠・分娩・育児等)を調査し、勤務医部としての雛形を示すことも検討する。
女性保健部と協力し、女性医師の目からみた女性専用外来に関する全国的なアンケート活動を検討する。
4. 産婦人科専攻医師増加のための検討
新研修制度が4月から始まることを踏まえ、各支部勤務医担当者との連携を強化し、各都道府県における卒後臨床研修指定病院の確認、卒後臨床指定病院指導医の医学生・研修生向けの一言募集、四国ブロックで行った座談会予備アンケート結果を踏まえ、各支部の勤務医担当者に向けたアンケート調査、また医学生向けの医会からのメッセージの配布、新しく始まった卒後研修病院の置かれた現状調査活動を行う。
5.日本産婦人科医会学術集会開催ブロック勤務医担当者座談会
今年度で6回目となる勤務医座談会を日本産婦人科医会学術集会時に開催する。今年度は千葉県で、関東ブロック勤務医担当者を対象とする。座談会の内容、結果についてはJAOG
Informationで報告する。
6.日本産科婦人科学会総会・学術講演会会場での医会広報スペース設置への協力
平成16年4月に開催される日本産科婦人科学会総会・学術講演会会場に設置予定の医会広報スペースに、勤務医部として参加協力する。現地でのアンケート配布も計画する。
- 7.医会ホームページ勤務医部コーナーの充実
(1) 平成15年度までに行った調査提言等を掲載する。
(2) 勤務医の生活に関する情報提供コーナーの設置
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勤務医自身および家族の将来に対する保障等は自分自身で熟考しなければならない時代である。しかし、今までこの領域に関する情報提供は皆無に近い。そこで、ファイナンシャルプランナー(ライフプランナー)などの協力を仰ぎ情報を掲載する。
8.委員会 勤務医部の活動のため以下の委員会を存置する。
勤務医委員会 必要に応じて小委員会の設置も考慮する。 勤務医の待遇のための小委員会 産婦人科女性医師のための小委員会
産婦人科専攻医師増加のための小委員会
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