[14]献金担当連絡室
おぎゃー献金運動が40年を経過した。その間に社会が変わり、障害者の置かれた環境が変わり、障害者自身の意識も変わった。
40年前、皆無に近い心身障害児のための施設を増やすために、おぎゃー献金運動は世論を喚起し、障害児施設を増やし、家庭から施設へよりよい養育を求めた。障害児を閉じ込められた家庭の奥から施設に収容することで、障害児と家族を救った。障害児が収容施設から社会を覗き、社会を理解し、社会に出られるようになり、障害児自身の考え方が変わってきた。いつまでも、施設に収容されていることに満足しなくなった。一生を施設の中で終わらせてしまいたくない。家族と共に「普通の場所で、普通の人のように、普通の暮らしをしたい」
収容から自立へ、多くの障害児関係機関が動き始めている。
このためには、障害児が社会で生活できるよう、社会を変えなくてはならない。障害児を理解し支える「やさしさと思いやり」の社会の構築が必要となってきた。このことは、障害児のためのみならず、健常な子供たちの成長にとっても必要な社会である。障害児と家族を援助するために、障害児への理解と献金を訴えてきた産婦人科医の運動、おぎゃー献金運動もまた変わらなければならない。
心身障害児を助け支える「思いやりとやさしさ」の社会を構築するために、産婦人科医療機関だけで訴えることに留まらず、社会に訴え、心身障害児が普通に生活できるよう世の中の人々の「育み支える、やさしさ」を喚起しなければならない。今まで以上に、産婦人科医師の行うおぎゃー献金運動が、あらゆる機会を利用し、心身障害児のことを社会にPRしていく。
1.日本産婦人科医会会員活動
(1)
先天異常部の事業を援助し、(財)日母おぎゃー献金基金の委託事業とする。その成果を医師のみにとめず、一般社会に広く伝えおぎゃー献金と産婦人科医師の活動をPRする。
(2) 先天異常治療に関するパンフレットの作成
日産婦医会先天異常部作成の産婦人科医のための資料を、一般の人々にわかりやすくパンフレットとして作成する。
(3) 日産婦医会会員の献金促進
日産婦医会の各部とおぎゃー献金との関連事業を共同で行うことにより、医会の財政を助けることをPRし、一層の献金活動を会員にお願いする。
分娩を取り扱わない会員にも、このことを理解してもらい日本産婦人科医会の会員として献金活動に参加することを促す。
(4) 妊娠・育児に関するカウンセリングの全国調査
妊娠・分娩・育児に対する不安や出生前診断・先天異常に関するカウンセリングの可能な医療施設に対して、昨年度実施した全国調査をもとに収集した情報をおぎゃー献金ホームページに掲載する。
(5) 未協力会員への協力要請
新しい会員や、おぎゃー献金運動に理解不十分の会員に、おぎゃー献金運動に理解が得られるよう、次の世代につながる行動を要請する。
(6) 日産婦医会会員協力体制の維持・強化
日産婦医会支部よりの献金ルートの維持をはかり、従来通りポスター、献金ニュース、献金袋、領収書、献金箱、献金シール、献金のしおり、献金パンフレット(郵便振替用紙付)などを作成配布する。
(7) 大病院の協力体制の維持・強化
おぎゃー献金と研究費配分との関係のPRを強く訴え、病院管理者等におぎゃー献金協力依頼の説明文書を送付し、郵便振替用紙による献金方法を推進する。
(8) 日本産婦人科医会学術集会開催時に、「献金パンフレット」等を参加者に配布し、さらに支部長会でも配付し、会員への協力を要請する。
(9) 「おぎゃー献金推進月間」
10月の「おぎゃー献金推進月間」には、全国的に産婦人科病医院窓口で献金を推進するとともに、思いやりと助け合いのおぎゃー献金精神を知ってもらうためのPRを行う。
(10) おぎゃー献金推進キャンペーン
おぎゃー献金推進キャンペーンは、各地の反響を見て、今後の発展性について検討する。
(11) 研究費配分先の研究成果の報告
本年千葉県で開催される日本産婦人科医会学術集会において、おぎゃー献金研究費配分による研究成果の発表について検討する。
(12) 「全国日産婦医会支部献金担当者連絡会」の開催
全国日産婦医会支部献金担当者の意見を聴し、日産婦医会会員協力体制を確立する。
2.対外活動対策
(1) 障害児・障害者団体の活動情報の収集
障害児・障害者団体およびその家族や団体のホームページ活動情報を全国的にアンケート調査し、インターネットを活用した情報交換、献金活動の広報を行う。
(2) おぎゃー献金ホームページの積極的活用
1)おぎゃー献金ホームページを通じて、おぎゃー献金の活動の広報、心身障害児への理解と協力。妊産婦、子供たちへの社会のやさしさと思いやりを積極的に訴える。
また、ホームページの充実を図る。
(3) 一般社会へのおぎゃー献金運動のPR
1)おぎゃー献金の運動を報道機関に伝え、障害児の実状をマス・メディアに流し、障害児と産婦人科医のかかわりを報道してもらう。
2)電子媒体を利用した献金方法の確立およびPRを行う。
3)社会貢献「OMCおぎゃー献金カード」の全国展開に協力する。
4)医療施設対象の自動販売機(株式会社伊藤園)を利用した献金方法をさらに推進する。
(4)
(財)日母おぎゃー献金基金に協力している妊産婦誌“はじめまして”(旺文社発行)に協力。おぎゃー献金の記事を掲載し、妊産婦におぎゃー献金と障害児への理解を訴える。
(5) 行政、関連団体、協賛団体への働きかけ
関連機関に対し、おぎゃー献金運動への日頃の協力を感謝し、さらに一層の積極的協力を依頼する。たとえば日本産科婦人科学会の総会開催時に、「献金パンフレット」等を学会参加者に配布し、おぎゃー献金運動への協力を要請する。
(6) 新聞、雑誌関係者におぎゃー献金の事業の目的ならびに脳性麻痺や心身障害児についての理解を得るために懇談の機会を考える。
3.国際的活動対策
(1)
国際クリアリングハウス年次総会および先天異常の疫学ならびに予防に関する国際シンポジウム(ISCOM : International Symposium
on Congenital Malformation、平成16年度は9月19日〜22日に京都で開催予定)に協力する。
(2)
「インドネシア児童福祉基金財団」「ユニセフ」「大韓家族計画協会」等海外団体のその後の活動を調査し、協力関係を維持する。さらに本邦で開催されるおぎゃー献金関連国際学会等に協力し、おぎゃー献金運動を広く世界に知ってもらうよう努力する。
4.献金配分
(1) 施設、小口、研究費配分に対し厳正かつ厳密なる審査を行い、全国から集まった浄財を適切に配分する。
(2) 献金配分方法の検討
貴重な献金の有効な配分を目的として、施設配分で数多い車両等の本部一括購入による低額化や適正な研究費配分のための課題研究項目の設定、審査方法、研究費配分等について検討をする。
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